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龍神村森林組合 専務の『林業よもやま話』

中国大連視察記(H21.12.22)

 平成21年12月2日〜5日まで中国大連で行われた、木材市場現地視察会とセミナー及びマッチング商談会に行ってまいりました。 大連市は、人口約600万人(内市街地約200万人)中国第9番目の都市ということでしたが、時代の最先端と数十年前が混在し、その中で発展する中国の勢いに圧倒された感想を持ちました。

最初は、建築中のマンション街とモデルルームの視察に行きました。

大連1

これは、大連で日本資本の会社が建てているマンション街の完成予定のモデルの写真です。こちらは、約1,000戸4,000人の街で龍神村がほぼ丸ごと入ってしまうマンション街が建築中でした。一般にはスケルトン(内装を施さない)で1u約10〜15万円、1戸約2千万円位で、また内装に1〜1.5千万円位かかるそうです。ただ、内装はやはり石の文化が中心で、木質系は今のところあまり使われてはいない様でした。他にも各地でいくつもの建設中の高層マンションが見受けられ、どれもすぐに売り切れるとのことでしたが、現地の平均的な市民の月給が3,4万円と言うことを考えると一部の富裕層向けの物なのか、それともバブルなのか、という感想を持ちました。

次の写真2枚 これは、大連木材交易市場でのものです。

大連2 大連3

ここは、鉄道、海運での集材現場で多数の仲買問屋がひしめいていました。バスで移動中にちょうど鉄道で入ってきた貨物車(ロシア材)と、市場の中の製材所で板を挽いている写真です。ロシアの原木への輸出関税アップの関係で、ロシアからの鉄路の輸入が減り、ニュージーランド(ラジアータパイン)原木と、カナダからのSPF(トウヒ、マツ、モミ)板材が前年比100%を超える伸びをしているそうです。海路での輸入は1船で2 〜3万立方b。龍神の共販所の年間取扱量が約2万5千立方bであることと比べるとその規模の大きさがわかります。その一方、製材所は写真の様な人力で押して製材するものが、この市場周辺に数百社あるそうで、この古さと言うかミスマッチが大変印象的でした。

次は、大連最大級の木材加工工場や、集成材工場を視察しました。

大連4

写真は、日本に輸出される集成材のカウンター材を作る1工程です。中国の最先端の工場の一つとのことでしたが、機械類はどこもこれといって目新しいものはなく、それよりも働く人の多いこと、人海戦術に驚きました。大きくないが、最も効率のいい工場と言われるところには、最も人口密度が高く作業員さんが配置されていました。新しい機械を入れるより、まだ人件費をかける方が安くつくようです。節抜けの欠けた所を大勢が一生懸命パテ埋めしている様子を見たときには、物と労力の値打ちについてちょっと考えさせられました。

次の日は、セミナーとマッチング商談会です。

大連5

今回は、主に視察目的で商談についてはあまり考えていなかったのですが、これもセットになっている企画でしたので、各20分ずつ合計7社との商談をすることになりました。最初から期待しておらずまあこれも勉強と龍神材の宣伝のうちと思い参加したのですが、まず量が桁違いでした。うちの製材所の出荷量約2千立方b(年間)の話をすると、もの足りなそうに「月間ですか?」と聞かれる始末。それから価格についてはやはり大変シビアで、原木だと1立方b当たり80〜100ドル前後ラジアータパイン並のものが欲しいとのことで、円高ドル安で人民元もドルに対してほぼ固定相場の今の状況ではとても話にならず、買う気満々で来ている中国の商売人さん相手に話をしたこの日はどっと疲れました。ただ、今後の為替の動向で人民元の切り上げがあった時には、世界各地の木を買い尽くすのではと思わせる様な雰囲気がありました。中国と直接取引をしていなくても案外それが我々の追い風になるのではとも思いました(甘い期待かもしれませんが…)。

 そんなこんなで当分龍神材を輸出することにはなりそうもないまま今回の視察は終わりましたが、経済成長のまっただ中の熱気が感じられ、良いか悪いかは分からないにしても将来この国の動向が必ずや自分たちに影響を与えるであろうと感じさせられた中国大連の旅でした。

平成21年12月
 龍神村森林組合 代表理事専務 眞砂佳明

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 「間伐のすすめ」 平成21年2月

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