人間が植えた木は、手入れをしてやらないとうまく育ちません。
手入れの中でも間伐は大変重要な作業です。これは、一度すればよいと言うものではなくて、木の生長にあわせて何度もしてやる必要があります。
間伐をしてやらないと木は太く成長することが出来ません。風で倒れたり、山の中が真っ暗で下草も生えず表土が流れ、保水力のない災害に弱い山になってしまいます。最近は、CO2の固定といった話なども出てきて環境面から間伐を推進する話がよく聞かれます。
しかし、間伐をするのは環境のためだけではありません。
私は今の役職に就く前、十年間程自分の家の山の手入れ(主に間伐)などをして生活していました。一人の林家として間伐について述べてみたいと思います。
私たち林家が山に木(主に杉桧)を植えたのは、商品として木を売るためです。よい木(商品価値の高い木)を育てるためには、まず多くの木を植えておいて、その中から曲がりや傷のある木、成長の悪い木などを間引いてよりよい木を山に残していく、その作業が間伐で、それを繰り返し行うことで価値の高い山を作っていくのです。
間伐をしてやると残ったよい木が太ります。それまで混み合っていて伸ばせなかった枝を広げるのに2,3年かかり、しっかりした枝が出来ると幹がぐっと太り始めます。下の切り株の写真の年輪を見てください。
これは、13年前に間伐をして昨年末にまた間伐をしたもので、外側の10年程の年輪幅は広くよく成長し、その前との違いがはっきりしています。これが間伐の効果です(本当は、前の間伐をもっと以前にして、均等に成長するようしてやらなければいけなかったのですが…)。
間伐する時どの木を伐るか悩みます。「この木を伐るとこちらの木が残る。次の間伐であちらを伐れば、あの木が最後に残ることになるのかな。」とか、「あと○年すると子供が高校や大学、その頃にこの木をものにしようとしたら、今伐るのはこれかな。」とか色々と考えながら木を伐ります。それがうまく当たっているかどうかまだわかりませんが、間伐をしてやった後の山はとても気持ちがよく、木を見上げながらまた色々と考えるのは楽しいものです。
最近は、木材価格が下がったことで植林した山に対する関心を失い、放置されている山も見受けられます。しかし大変ありがたいことに、環境保全のため、間伐には色々な補助があり、自分でせずに森林組合が作業をしても林家は少しの負担で実施することが出来ます。
間伐は山の価値を高めます。また、植えた者の責任でもあります。十年後、二十年後の山を楽しく想像しながら、間伐をしようではありませんか。
平成21年2月
龍神村森林組合 代表理事専務 眞砂佳明